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11 février 2005

尾辻克彦『カメラが欲しい』

カメラを生涯の趣味とし、愛情を注ぎ込む筆者のむくな気持ちが随所に見られ、たいていの少年がたいていもっていた少年の気持ちがうれしい一冊だ。
別段、カメラや写真に趣味がなくても共感できる本だと思った。それは5球スーパーラジオでも2石レフレックスラジオでもHOゲージのC62でもUコンでもなんでもいい。少年がもつ機械、あるいは機械的なものへの純粋な憧れがそこには描かれている。
そういったものを欲しいと思う気持ちの、微妙に複雑な心理的論理構造が実に巧みに書かれている。アマチュアとしての立場に徹している筆者の態度にも好感がもてる。
そういえば大人になると欲しいものが見えなくなってくる。マニアックにものを集められる人というのは昨今の住宅事情では難しいものもあるし、時短とかゆとりとか叫ばれながらも男はたいてい会社人間となり、たいした趣味ももてないまま歳をとる。若い人たちに今何が欲しいかと聞くと、お金だのマンションだの、さらにはゆとりだのやすらぎだのと答えるらしい。クルマと答える者も多いようだが、これはまた莫大なお金がかかる。
どうも近い将来手にとれるものはあまり欲しがられないようだ。
(1992.8.14)

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