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13 février 2005

安西水丸『青山の青空』

何年かぶりに茗荷谷界隈を歩いた。
文京区のこのあたりは、池袋へ歩くにも、飯田橋へ歩くにも中途半端で不便な場所だ。だからかえって歩くのにちょうど気持ちのよい場所なのかもしれない。

二十歳の頃、教育実習でこの近くの小学校に3週間ほど通ったことがあるし、富坂上、伝通院のちょっと先の都立高校とはよくバレーボールの練習試合をした。

白山の側からみて茗荷谷駅の手前の小さな本屋で安西水丸の『青山の青空』という文庫本を買った。退屈な街には退屈な本が似合うと思ったからだ。

この本は彼の日常を綴ったエッセイである。僕にとってもなつかしい千倉の話や僕の母方の叔父が住んでいた赤坂丹後町や佃や青山、そして都電の話などがさりげなく描かれている。

中でも銀座の話はすごくうれしい。銀座は僕自身勤め先のある土地であるし、かつて母が(父と結婚する前、僕が生まれるずっと昔に)勤めていたデパートがあるからだ。

安西水丸はかつて電通で働いていて、彼なりに銀座を体験し、銀座を身につけたのだろうと僕は思う。銀座は基本的には今昔のない、時間の止まった街だと僕は思っている。銀座に新しさやなつかしさをもとめてはいけない。
変わったのは人であり、その感じ方である。
彼はもしかするといちばんよかった銀座といちばんよかった東京を知っている人かもしれない。

ほとんど本の感想文にはなっていないな、これは。
(1993.4.3)

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