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15 février 2005

村上春樹/安西水丸『日出る国の工場』

できることなら、生涯床屋をかえたくないと思っている。

早稲田の理容Kは、僕にとっては三軒目の床屋であるが、その思い切りのよさを僕は気に入っている。ジャイアンツでいえば水野のフォークボール、広島東洋でいえば衣笠の空振り、日ハムでいえば大沢監督の采配のように気持ちがいい。

ふつう床屋は、僕が「短くしてね」というと、ほどよく遠慮がちに短くする。坊主にしてくれとか、剃ってくれとかいわないかぎり、客の注文より少し長めに仕上げるものだ。なぜなら切ってしまったら取り返しがつかないからだ。ところが早稲田の理容Kはそうではない。本当に短くするのだ。本人のイメージ以上に短くするのだ。客があきらめるくらい短くするのだ。これがすごく気持ちいい。

今日はその早稲田の床屋にいった。バスで阿佐ヶ谷に出て、東西線にのって早稲田にいった。去年まで住んでいた街である。ちょうど昼時だったので、えぞ菊で味噌ラーメンを食べることにした。最近、テレビ番組でとりあげられるようになった札幌ラーメンの店だ。ビールを飲みながら、味噌バターラーメンを食べる。ここは餃子もうまいが今日はラーメンだけにする。スープを少し残して、鶴巻町まで歩く。早大の西門から構内に入り、正門に抜ける。鶴巻町に出る近道だ。けやき通りを200メートル弱歩くと理容Kがある。

待ち時間に『日出る国の工場』を読む。単行本を昔買ったが度重なる引っ越しのごたごたで紛失し、先日文庫本を買った。内容は単なる工場見学記でときおり村上春樹の人間嫌い、動物好きなキャラクターがかいまみれる程度の本である。

学究肌の僕はこんなノンジャンル的な興味本意の本は好きじゃないんだけれど、先日のとある靴工場を仕事で見学させてもらって以来、工場にいっそう関心を持ちはじめたので、参考として読むことにしたのだ。まあ本のことはともかく、髪をどっさと切ってもらい、天気もよく素晴らしい5月の土曜日だった。
(1993.5.16)

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