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06 mars 2005

川上弘美『センセイの鞄』

学校時代はさほど先生に恵まれていた記憶がない。それなりに勉強はこなしていたから先生から受けがよかったとは思うが、クラス会の幹事をやるようなこともしていないし、率先して先生と長いつきあいをしたこともない。唯一あるとすれば高校時代のクラブの先生で別段バレーボールに長けていたわけでもなく先輩の日本史の教師に無理矢理顧問にさせられた感じの先生だった。
卒業してから合宿や公式戦で先生とはよく会っていろんな話をした。先生は(たいていの先生がそうであるように)身のふりかたもわからない若造の話をよく聞いてくれた。いまの仕事に就いてから、学校にも行かなくなったし、先生も別の学校に赴任されて連絡を取り合うこともなくなった。いちど先生のお宅におじゃましたことがある。運動部のOBで後進の指導に当たっている3人で先生と酒を飲む約束をしていたのだが、いつまでたっても待ち合わせ場所にあらわれない。ひとりが先生の家に電話したらすっかり忘れていて、これから出かけるのもなんだし、みんなで呼ばれたわけだ。先生の書斎で終電の時間まで飲んで外に出たら一面雪景色になっていた。なんとか駅までたどりついたが電車は終わっていて、結局先生のお宅に泊めてもらうことにした。
ぼくの数少ない先生の思い出である。
その雪道、終電の終わった駅はいまぼくが住んでいる駅のとなりである。地元であまり飲まないせいもあるかもしれないが、いまだかつて先生にめぐりあったことはない。
最近居酒屋でひとり酒を啜っているようないい本に出会えてなんとなくうれしい。
(2002.2.13)

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