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19 février 2007

柴田三千雄『フランス史10講』

もし仕事や血縁、地縁などのしがらみがなければ(しがらみなんていったらお世話になっている皆様方には甚だ失礼であるが)、最終的に永住するのはフランスだという断固たる妄想を抱いている。なぜフランスかと問われても答に窮するのだけれど、学生の頃、フランス語の学校に短い期間ではあったものの、通っていた(もちろん初級で終わった)せいかもしれないし、やはりその頃、ジャン=ジャック・ルソーやフランソワ・ラブレーなんかをよく読んでいたせいかもしれない。が、決定的な理由は2年ほど前に南仏を旅した影響かとも思われる。
その旅はちょうどバカンス時期でカラッと暑い地中海沿岸の夏だったのだが、その気候とおそらくは中世の昔に建てられたのであろう古い建造物、そして整備された鉄道網に圧倒された記憶が生々しく残っている。というわけで妄想の対象としてはなかなかレベルが高いなあと我ながら感心してもいるのだが。
とはいうもののふりかえってみると、たぶん高校時代には世界史をちゃんと履修しているとは思うのだが、フランスという国についてあまりに無知な自分がいる。相手を知り、己を知れば百戦危うからず。誇大妄想にも立ち向かうにはそんな姿勢がたいせつだ。己を知るのはさりとて困難ではあるし、一生かけても無理かもしれない。となれば、せめてフランスのことをよく知ろうと思って読んでみたのがこの本だ。
正直いうともっと教科書みたいな本でよかった。歴史年表をたどってその因果関係が述べられているような本で。まあ岩波とはいえ新書だからその辺は適当に浅い教養書を期待して読んだのが間違いだった。単なる史実を綴っているわけじゃない。歴史としてどう史実を解釈するかというちゃんとした歴史学の本なのだ。もちろん新書的な素軽さで古代から現代まで話は進んでいくのだが、細かいひとつひとつの史実より、時代を象徴的に彩る事件、出来事にポイントを絞り込んでその解釈をめぐる議論などが紹介される。本格派の歴史書なのだ。
妄想を満たす程度の軽い気持ちで歴史を学ぼうとする輩にしっかりフランス史を学べと警鐘を鳴らした一冊なのかもしれない。

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