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18 avril 2008

安岡章太郎「サアカスの馬」

先日、去年大学を卒業したばかりの新入社員と荻窪界隈の話をしていて、その際、井伏鱒二の家って荻窪にあるんだよと言ったら、どうもそいつ、井伏鱒二を知らないらしい。太宰治も三鷹に引越す前は荻窪に住んでいたそうだというとさすが太宰治は知っているという(そりゃそうだろう)。
それで思ったんだが、ぼくらは中学の国語の教科書に「山椒魚」が載っていたから井伏鱒二を知っているんであって、もしそうでなかったら、やはりその若者同様、え?誰それ?となったかもしれない。
中学の頃、教科書に載っていて印象深い小説として安岡章太郎の「サアカスの馬」があげられる。こんな書き出しだ。

   ぼくの行っていた中学校は九段の靖国神社のとなりにある。
   鉄筋コンクリート三階建の校舎は、その頃モダンで明るく健康的と
  いわれていたが、僕にとってはそれは、いつも暗く、重苦しく、陰気な
  感じのする建物であった。

ここ第一東京市立中学校で劣等生だった安岡章太郎が靖国神社のお祭りで思いのほか脚光を浴びる老いさらばえたサーカスの馬に感情移入するという短編である。
たまたま今日午前中時間ができたので、授業をさぼった学生よろしく、日比谷図書館に立ち寄って久しぶりに読みかえしてみた。第一東京市立中学は後に東京都立九段高校となり、現在では千代田区立九段中等教育学校という6年間一貫校となっている。ぼくも九段高校の出身で、まさに安岡章太郎が通っていたモダンで明るく健康的な鉄筋コンクリート三階建ての校舎で3年間を過ごした。この校舎は後に改築され、すっかり様変わりした。キャベツを食い散らかした地下の食堂や安岡少年が立たされた廊下など、この校舎の面影はわずかにこの短編に記されているだけだ。

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