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18 mai 2008

池田健二『フランス・ロマネスクへの旅』

今春からはじまったNHKラジオフランス語講座応用編がいい。
いままで応用編というとテーマが設定されていて、たとえばサン・テクジュペリの『星の王子さま』を読むとか、ル・モンドを読むとか、数字にまつわるフランスを考察するとか、旅で役立つ会話レッスンとかそれなりのテーマがあって、それに即してテキストの文章があって、読んでは文法的、会話的なポイントを解説するという、どちらかといえばテーマの中心に向かって真っしぐらに進行していく、いわば求心的なプログラムだった。
今年は違う。
もちろんテーマはある。“コミュニケーションをスムースに”みたいなことだ。でもって、そのカリキュラムが絶妙なのだ。
週二回のレッスン。その一は音読。さして長くない文章を読む。音読する。自己紹介とか、家族の紹介とか、いたって簡単な文章だ。だが、その文章を読ませる、聴かせるアイデアがそこにある。
まず短い文章を読んで聴かせる前に文章にまつわる質問を聴かせる。最初から質問がわかっていれば、それに答えられるように集中して聴くことができるって寸法だ。
たとえば家族の紹介というテーマの文章があるとする。それを読む前に、彼には何人きょうだいがいますかとか、彼の兄・姉は何をしていますかみたいな質問がふられるわけだ。聴いてる側としてはそれに答えられるポイントを聴こうとするので、おのずとポジティブに耳をそばだてる。
で、週二回のレッスンの二回目。短い文のかけあいをここで学ぶのだが、まず答を聴く。そしてこの答を引き出す質問は何かを考えさせる。最初に「はい、だって東京にはおいしいレストランがたくさんありますから」という答を聴かせて、「夕飯は外で食べることが多いですか?」という質問を導き出すという手法だ。
最初のうちは、教材を読んでついていくので精一杯だったが、だんだんなれてくると、実にほどよく計算された教材だと感心してしまうのである。
ま、それはともかく。
ロマネスクとはローマ風の、という美術用語なんだそうだ。
十一、二世紀の建築と芸術の様式を示すために考案された名称なんだそうだ。
著者が訪ね歩いた中世の教会建築をロマネスク芸術という視点で丁寧にとらえた一冊。当然のことながら、『ロマネスクの歩き方』的な簡単な本ではない。新書だからといって軽い気持ちで読んではいけない。ましてや中世史もフランスの地理もキリスト教文化も教会建築も何の予備知識もなく頁を開く本でない。
いきなりあらわれるナルッテックス、タンパン、ラントー。さらに身廊、側廊、内陣、クリプト、トリビューン、ヴォールト、パンダンティフ。読んでもよくわからない巻末の用語解説を見、目次後の地図を見、豊富な写真を見て、さまざまな情報を総合して読みすすめていく。それでも難解だ。
つまり芸術とは難解なのだ。

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