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13 novembre 2008

林芙美子『放浪記』

徹夜の仕事が続いたりすると、こいつがひと段落したら、ローカル線にゆられて少し遠出をしよう、行った先に温泉でもあれば、ゆっくり浸かって、何も考えない一日を過ごそう…などと決まって思う。特に行き先は決めていない。水戸あたりから水郡線に乗って、あるいは拝島から八高線に乗って、はたまた五井から小湊鉄道に乗って、などとおぼろげに思うのはなぜか関東近郊の非電化区間の気動車で、キハと形式表示されているディーゼルカーがなぜか旅情を誘う。こんなとき、寝台特急で北国に行きたいとか、国際線に乗って近隣諸国でうまいものを食おうなどとは思わない。きっと持って生まれた貧乏性が歳を重ねるごとに深く心身に刻み込まれてしまったのかもしれない。
『放浪記』というと森光子しか思い浮かばなかったが、林芙美子のシベリア~パリの旅の手記を読んで、俄然興味がわいてきた。この人が根をはらない生き方をしたのは、哲学としてそうなんじゃなくて、宿命づけられていた運命だったのだ。人生を旅になぞらえる生き方をする文学者は数多い。しかしながら、林芙美子は天性の放浪者、筋金入りの旅人だ。そんな思いを強くした一冊である。

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