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15 septembre 2009

重松清『あの歌が聞こえる』

東京で生まれ育ってそのままなもんだから、ふるさとを後にして都会へ旅立つという経験がなかった。
父親は小学校を卒業し、千葉の白浜町(現南房総市)から親戚を頼って上京し、浜松町にある商業学校に通った。以来ずっと、毎年何度か帰郷したとはいえ、東京で過ごしている。
故郷を捨てて、というと大げさだけど、人生で一度くらい新天地へ出発する日があってもいい。そんなことを考え、とある地方大学を受験した。もう30年も昔の話だ。結果的にはずっと東京である。
重松清はぼくの中では反則すれすれのレスラーだ。限りなくずるい。テーマの持って来方、味付けの仕方など、これをやられたら読んじゃうよなあ、みたいな連続技で畳み掛けてくる。
地方都市、中学~高校、友情、母と息子、父と息子、旅立ち…。これら、多くの読者に共有できる時代体験を、かつて一世を風靡した流行歌にのせてお届けするわけだ。ここまでして人を泣かせたいのか、あなたは、とついその、一歩間違えば反則になる、くさくなる話を、ギリギリのところにとどめる技がすごい。もちろん多少語り過ぎるきらいがないでもないが。
で、この作者は青臭い少年心理より、親父たちの友情や親目線の情愛、情感を描かせるほうが断然うまいと思う。

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