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22 mars 2011

芥川龍之介『蜘蛛の糸・杜子春』

Mikan
一昨年の夏に岩波文庫版『蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ他十七編』を読んだ。これは娘の本棚にあったものだ。
今回読んだ新潮文庫版『蜘蛛の糸・杜子春』には10編が収められていて、そのうち9編は岩波文庫版に含まれている。つまり、岩波文庫版の20編を読めば、新潮文庫版のほとんどを読んだことになる。にもかかわらず、新潮文庫版を古本屋で買ってきて読んだのは(厳密に言うと新潮社版が読みたいとぶつぶつ言ってたのを聞いていた娘がブックオフで105円だったからと買ってきてくれたのだが)、ひとえに「蜜柑」が読みたかったからである。
「蜜柑」程度の長さの短編なら図書館でもネットでも5分もあれば読めるというものだが、なんとなく自分で所有する本で読みたかった。そう思ってしまったんだから仕方ない。
もう20年以上前、とある男性かつらのCMでこんなのがあった。ローカル線の列車の中で車窓を開けようとしている若い女性。昔の列車の窓というのはなかなか開きにくかったものだ。力の入れ方にちょっとしたコツが要る。たまたま相席していた男性が代わりに開けてあげる。開いた車窓から車内に吹き込む風が男性の前髪を強くなびかせる。
車窓の外では幼い弟が旅立つ姉に手を振っている。「強いから、やさしくなれる」というナレーションが耳に残る。
このCMはぼくの師匠ともいえるUさんとMさんが考えた。当然のことながらMさんが思い浮かべた光景は芥川龍之介の「蜜柑」だった。
「ほんとはみかんを投げたかったんだよね」とその昔、Mさんが話してくれた。

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