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05 mars 2011

池内紀『なぜかいい町一泊旅行』

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大学時代、カフカの「万里の長城が築かれたとき」という短編を読んだ。
ひとり黙々と読んだわけではなく、一般教養の第二外国語の授業で読んだのである。それも4年生になって。
2年時から何を思ったのか、お茶の水のフランス語学校に通うようになって、大学のドイツ語の授業はすっかりさぼってしまったのである。再履修した3年時の授業はたいして興味が持てないまま、パス。4年になってようやくカフカを読む授業に出会った。これは今でも運がよかったと思っている。
「万里の長城が築かれたとき」というのはぼくが訳したもので(直訳だと「中国の壁が築かれたとき」とかそんな感じだった)、一般には「万里の長城」というタイトルで全集などにはおさめられている。当時訳したノートは不思議と紛失の憂き目にあうことなく、今もわが家の書棚に眠っている。いつか読みかえしてみようかと思っている。
さてそのカフカの翻訳者として、またドイツ文学者として名高い池内紀(白水社から出ているカフカ全集の「万里の長城」は氏の訳である)は旅人としても名手である。ところどころ、道案内が不親切なところがあるにしても、町の見方、視点の置き方がすぐれている。
また、この本では新書という限られたスペースでありながら、行ってみたいと思わせる適切な場所が選ばれていると思う。そのあたりの、読者を旅にいざなうぎりぎりいい町が紹介されているのがなんとも心憎い。
できることなら続編をぜひ期待したいものである。

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