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02 avril 2011

芝木好子『洲崎パラダイス』

Susaki
母校である小学校と中学校が統合されて新たに小中一貫校になった。
そんな知らせとともに廃校になる中学校の同窓会の案内をかつての同級生であるI(旧姓)が実家に持ってきてくれた。前の住所に出した往復はがきが返ってきたというのでわざわざ持ってきてくれたのだ。生憎、耳の遠い父が留守番だったためにIの話がどれだけ伝わったかわからないが。
Iはちょっとおせっかいだけど、小さいころから(Iとは小学校のときから同級だった)責任感の強い、しっかりしたやつだった。
出身の小学校中学校がなくなり、すでに出身高校もなくなっている。やれやれである。
地震のあと木場のビデオスタジオに行かなければならない用事があった。午後はやめに終わったので洲崎神社からかつての洲崎界隈を歩いてみた。“パラダイス”は跡形もない。なくなるものはなくなるし、のこるものはのこされる。
ただ、どうせ洲崎を歩くなら、この本を読んで歩いたほうがいい。もちろんこの町を歩かないにしても、この本は読んだほうがいい。貧しい戦後東京に生きる女性たちの姿は、実はきわめて人間的だった。ドラマティックだった。もちろんこれは小説の話であって、事実でも史実でもない。けれどもこの町に生きた人間の生きざまとしてはかなり真実なのではないかと思うのだ。
結局同窓会当日は都合がつかず欠席した。その旨を伝えるべく、Iの携帯に電話をかけ、何十年ぶりに声を聞いた。ちょっとおせっかいだけど、責任感の強いしっかりした声だった。

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