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10 octobre 2013

『村上春樹全作品 1979~1989〈3〉 短篇集〈1〉』

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この夏、読書量が激減した。
読書量が減るということは単に本を読まなくなることではなくて、読みたい本がなくなることだとなんとなく思った。仕事を中心に日々を送っていると一日が仕事の部分とそうじゃない部分とに比較的単純に二分できる。そうじゃないとき、つまり仕事と非仕事に加えて第三、第四の用事だとか悩みだとかが勃発すると非仕事の時間が削られる。外界に対する興味が失われていく。結果、読みたい本がなくなる。おそらくはこういった図式なのではないかと勝手に思っている。
だからといって読書以外の私的な楽しみがことごとく奪われてしまったかといえばけっしてそんなわけでもなく、カメラを下げて町をぶらつくとか野球の試合を観に行くといったことはあいかわらず続けていた。
野球といえばこの夏東京を盛り上げてくれたのは何校かの都立校だろう。東東京大会では江戸川と城東がベスト8。西東京では都立日野高が次々と強豪を撃破して決勝戦までコマをすすめた。
準決勝対国士舘を延長戦で勝ち、その勢いを駆ってのぞんだ決勝。相手は常勝チーム日大三。公立校が甲子園常連校に勝つ方法はひとつ。序盤の失点を最小限にとどめて、後半必ずやってくるワンチャンスを活かすという戦い方だ。もしそうした試合運びができれば日野高は日大三に勝って西東京代表になるのは当然として、甲子園での勝利という夢にも近づくことができるだろうと思っていた。
特に読みたい本がないときは昔読んだ本を読みかえしてみたり、好きな作家のエッセーをめくることが多い。村上春樹の『全作品』を図書館で借りてきたのは、そこに収められている「中国行きのスロウ・ボート」が初期の短編集からかなり書きかえられていると知ったからだ。枕元に二冊をひろげて、一頁ごと比較対照しながら読んでみた。どうしてここは割愛したのか、描写を変えたのかなどなど考えながら読むとけっこう楽しいものだ。
それにしても日大三は強かった。日野高にめざす野球をさせなかった。

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