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26 novembre 2013

芝木好子『隅田川暮色』

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何を隠そう、下町ウクレレ探検隊という不思議な組織の一員なのである(別に隠しているわけでもない)。
あるときは代々木公園でウクレレを練習し、またあるときは下町を歩く(ウクレレに関しては西田敏行のピアノと同じで僕は持っていないし君に聴かせる腕もない)。先月は冬が来る前に川散歩をしようということになり、日の出桟橋から水上バスに乗って浅草吾妻橋へ行った。間近で見る隅田川はまるで海のようだ。水量が豊かで東京の真ん中をこんな大きな川が流れているとは信じられない。不思議な感覚に陥る。
以前浅草に来たときは駒形橋までいったん戻り、川沿いを今戸橋まで歩いた。芝木好子『隅田川暮色』の世界だ。山谷堀沿いに紺屋はまだあるのだろうかと探したものだ。
昔撮ったカラー写真が褪色する。モノクロームの写真がセピア色に変わる。それはそれで風情のあるものだが、最近のカラープリンタで印刷した写真はひどいものだ。あっという間に色が褪せる。今は思い出そのものも昔に比べて軽くなってしまっているのかもしれない。
化学でつくられたものは自然の色彩にはかなわない。昔の人はそのことをよく知っていた。染色とは糸に色をつけるだけではない。歴史に色を残す営為なのだ。そんなことをこの本からおそわった(たいていの書店で在庫のない文庫版を見つけられたのはラッキーとしか言いようがない)。
この本の舞台は池之端から根津、上野、浅草だ。時間が許せばその界隈から歩いてみたいものである。
下町探検隊は吾妻橋上陸後、仲見世、浅草寺、そしてその周辺の商店街を歩く。短くなった日差しの許す限り写真を撮った。あたりが暗くなってきた。せっかく浅草に来たのだからとねぎま鍋の店やおでん屋を覗いてみるが、あいにく満席だったり、定休日だったり。で、結局、浅草寺脇のもつ煮ストリートに迷い込んで生ホッピーにありついた。これはこれで浅草らしい過ごし方だ。
川風が気持ちよく吹いていた。

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