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06 juin 2014

河尻定『歩いてわかった東京ふしぎ地図』

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国立競技場が建て替えられるという。
そのデザイン、費用など賛否両論。どちらかといえば反対意見を多く耳にする。
霞ヶ丘あたりの景観も一変するようだ
フリーマーケットなどでにぎわう明治公園もレンガ色の日本青年館も新国立競技場にのみこまれてしまう。明治公園は南側にある都営霞ヶ丘アパートが取り払われた跡地に移転するとも当初聞いた。
先日新聞で見た完成予想イメージでは明治神宮第二球場は残るようだが、あるいは改装されるのかもしれない。神宮第二球場は狭さゆえに東都大学2部リーグでも使用されなくなっている。場外に飛んで行ってなくなるボールが財政を圧迫しているというのはほんとうか。
先月、明治神宮野球場に東京六大学野球春のリーグ戦慶應対早稲田の一回戦を観に行った。勝ち点をとった方が優勝という盛り上がる早慶戦だ。リーグ戦を通じて好投を続ける早稲田有原から慶應の竹内が起死回生の逆転本塁打を放ち、初戦をものにした。その勢いをかって翌日も逆転勝ち。みごとに34回目の優勝を飾った。病気療養中の竹内監督(本塁打を打った竹内選手の父)に代わって指揮を執った江藤助監督がインタビューで涙していた。
千駄ヶ谷駅まで歩いて帰る途中、国立競技場のまわりには別れを惜しむ人であふれかえっていた。その勇士をカメラにおさめたり、記念撮影をするものもいた。これほど多くの人のまぶたに国立競技場が焼き付けられたのはまさしく先の東京オリンピックの開会式以来ではあるまいか。
この本の著者は日本経済新聞の記者だという。メディアとしての新聞は衰退しつつあるというが、やはり取材して記事にするというプロセスの中で興味深いネタが説得力あふれる事実に育っていくのだろう、読んでいておもしろい。町のうわさやネットで目にするさまざまな情報に感心するレベルをはるかに超えて、納得できる真実がそこに露呈していく。
このようにして国立競技場の物語が後世に伝えられて行ったらこれにまさる喜びはない。

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